江の島の植物・セリ(芹)セリの若葉は香りがよく、春の七草のひとつです。江の島では裏参道の海側、中津宮広場の海側のやや湿った場所に生育しています。
江の島の植物・セリ(芹)
2019年1月11日 写真&文: 坪倉 兌雄
セリ(Oenanthe javanica)はセリ科セリ属の多年草で日本全土に分布し、種子や地下茎で増え、水田や用水路などの湿地に群生します。若葉は香りがよく食用に用いられ、春の七草のひとつとしてよく知られています。江の島では裏参道の海側、中津宮広場の海側のやや湿った場所に生育し、匐枝をのばして節から角張った地上茎をだして高さは15~40㌢になります。茎につく葉は互生して1~2回3出複葉、葉身は3角状で長さは約13㌢、小葉片は卵形で長さは2~5㌢、ふちに粗い鋸歯があります。花期は7~8月、長い花径の先端に5~8㌢の複散形花序をだして白色5弁の小さな花を開きます。萼片は披針形で5個、花弁は広卵形で先端は内側に曲がります。雄しべは5個、雌しべは1個で花柱は2個あります。8~9月、果実は2分果で楕円形、長さは2~3㍉。種子は軽く水面に浮上します。
セリの名は、競り合うように密生することによるとの説があります。全草にオイゲノール(eugenol)などの芳香成分を含み、この独特の香りが愛されて古くから食用に用いられてきました。現在は栽培もされており、おひたし、天ぷら、各種の鍋物に用いる野菜として親しまれています。各種のビタミンやミネラルを豊富に含み、全草を乾燥させたものを生薬で水芹(すいきん)といいリュウマチや神経痛、利尿、解熱などに効果があるとされています(参考文献:薬になる植物図鑑)。
万葉集には葛城王(684-757)が薛妙観命婦にセリを贈った歌と、それに答えた歌のニ首があります。
2019年1月11日