江の島の植物・ウメウメ(梅)わが国に古くに渡来し、果実は薬用や食用に、花は観賞用として全国で栽培されるようになったものです。
江の島の植物・ウメ
2019年12月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
ウメ(梅)Armeniaca mumeはバラ科アンズ属の落葉小高木で原産は中国とされ、わが国には古くに渡来し、果実は薬用や食用に、花は観賞用として全国で栽培されるようになったものとされています。江の島にも多く植栽されており、神社境内や江の島大師の境内などで見ることができます。幹は暗褐色で割れ目が入りますが、若枝は緑色で無毛、樹高はおよそ5㍍。葉は互生し、長さ4~8㌢、幅3~5㌢の倒卵形~楕円形で先端は急にとがり、ふちに細かい鋸歯があり、両面と葉柄に微毛があります。葉柄の長さは1~3㌢で、葉身の基部には蜜線がつきます。2~3月、花は葉に先だって前年枝の葉腋に1~3個つき、5弁花で花弁の先は円形、萼片は短く中程から5つに分かれてその先端は丸みをおびます。雄しべが多数あり、雌しべは1個で子房に密毛があります。果実は球形で直径2~3㌢の核果、表面に密毛が生え6月ごろ黄色に熟します。
果実の片側に浅い溝が見られますが、これは心皮の縁のつなぎ目に由来します。果肉は酸味が強く梅干しや梅酒の原料に、仁は薬用に用いられます。ウメの品種は園芸種を含めて500種以上に及び、花の色は白・紅・薄紅など、一重咲や八重咲、枝垂れ梅など多種多様です。寒中に咲くウメの花は美しく、観賞用として各地に広まったものと考えられています。名前の由来は漢名のムイ、メイを日本語読みにしたものとされています。西暦2019年5月1日、新天皇陛下が即位され、元号が『平成』から『令和』に移りました。この新元号の典拠となったのが万葉集です。『万葉集巻第五の八一四』
2019年12月10日