江の島の植物・フキ(蕗)フキは地下茎をのばしてよく繁殖します。江の島では参道わきや広場、海辺などでみることができます。
江の島の植物・フキ(蕗)
2020年02月11日 写真&文: 坪倉 兌雄
フキ(Petasites japonicus)はキク科フキ属の多年草で雌雄異株、本州、四国、九州に分布し、地下茎をのばしてよく繁殖します。江の島では参道わきや広場、海辺などでみることができます。早春、葉に先だって緑色の苞に包まれたフキノトウが地上にあらわれます。このフキノトウは春の山菜として親しまれています。さらに成長して茎が伸び頂上に総苞片に包まれた数個の花序が散房状につき、それぞれの花序には多くの小花がつきますが、他のキク科の植物に見られるような舌状花はありません。雄株と雌株があり、雄株の花は総苞の外側から咲きはじめ、花はやや黄色に見えます。頭花は両性の筒状花ですが結実しません。中央の黄色い花粉がついた小花はまだ開いていません。花茎はおよそ20㌢になり、花粉を飛ばしたあと枯れます。
雌株の頭花には2種類の小花があります。糸状で細い多数の小花から伸びた細長い雌しべの花柱は、その先端が2裂に開き受精すると結実します。また雄花に似た両性花の花冠が数個見られますが、この花には花粉はなく結実しません。雌株の花茎は30~50㌢と長く、そう果は円柱形でおよそ3㍉に、冠毛の長さは約1.3㌢になり、風にのって散布されます。花後、根生葉がのびて茎の長さは30~70㌢に、多肉質で内部は中空、その先端に腎円形で約30㌢幅の大形の葉がつきます。葉のふちには細かい鋸歯があります。秋田をはじめ東北地方や北海道で見られるアキタフキは大形で葉の径は1.5㍍に、葉柄は2㍍にもなります(写真参照)。フキは茎・葉ともに食用として古くから用いられ、また栽培もされてきました。茎は煮物や天ぷら、和え物、キャラブキなどに用いられています。和名の由来は諸説あり、「葺(フク)」や旅路の用便の「拭」なども挙げられています。
2020年02月11日