江の島の植物・ショウゲツショウゲツ(松月)はオオシマザクラを基本に改良、育成されたサトザクラの一つです。
江の島の植物・ショウゲツ(松月桜)
2020年04月11日 写真&文: 坪倉 兌雄
ショウゲツ(松月)Cerasus Lannensiana‘Superba’はバラ科サクラ属の落葉小高木で、オオシマザクラを基本にエドヒガンなど数種のサクラを掛け合わせて改良、育成されたサトザクラの一つとされ、荒川堤から広まったとされています。江の島では「江の島大師」の境内で見ることができます。樹高はおよそ5㍍になり、枝は横に張り出して樹形は傘状に、樹皮は暗褐色で小枝は灰色、皮目は横に並びます。花期は4月の中旬、蕾は釣鐘形で外側は紅色に、開花すると花は全体に白っぽく見えます。花弁は20~30枚、八重咲で径約5㌢の美しい花を下垂し、花弁の先端に細かい切れ込みが見られます。雄しべは20~25本で長くのび、雌しべは1~2本で葉化して緑色になります。萼片は卵形で長さは約7㍉、ふちに鋸歯があります。花柄の長さは約2㌢、小花柄の長さは4~5㌢で萼筒はろうと形です。
花よりやや遅れて黄緑色の美しい葉が開きます。葉は互生して長さは6~14㌢、幅は3~5㌢の広楕円形で縁に芒形状鋸歯があります。葉柄の長さは約3㌢、上部に蜜腺が2~3個つきます。この蜜腺は「花外蜜腺」とも呼ばれ、昆虫などによる葉の食害を防ぐために、アリをおびき寄せる手段とも考えられています。花後に果実はつきません。和名(松月)の由来は不明ですが、枝を横に張り、花つきがよくて優美な景観をつくることから、それに相応しい名前であると考えられます。園芸品種名のスペルパ(Superba)は、「気高い」または「優美」を意味します。江の島にはヤマザクラやオオシマザクラのほかに、各種の栽培品種が多く植栽されており、サクラの花は4月中旬ごろまで楽しめます。
2020年04月11日