江の島の植物・オランダガラシオランダガラシは、江の島では海辺の山側で、やや湿った明るい場所で、その群生を見ることができます。
江の島の植物・オランダガラシ
2020年08月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
オランダガラシ(和蘭辛子)Nasturtium officinadeはアブラナ科オランダガラシ属の多年草で、原産はヨーロッパ地方。わが国には明治初期に移入されて、外人の料理に用いられ、また薬用として栽培されていたものが野生化し、国内全土に広がったものと考えられています。江の島では海辺の山側で、やや湿った明るい場所で、その群生を見ることができます。根茎は太く髭根をのばします。緑色の茎は無毛で中空、地を這って節間から発根して立ち上がり、高さは20-50㌢になります。葉は暗緑色で互生し、奇数羽状複葉で全縁、短い葉柄があります。頂小葉は卵形で大きく、側小葉は披針形で1~4対あります。花期は4~6月、茎の先に総状花序をつけ、萼片は4枚、花は白色の4弁花で、径5~6㍉の離弁花です。
花は両性花で雄しべは6本、雌しべは1本あります。果実は長角で1~1.7㌢に、熟すと2裂して、約1㍉の球状種子が出ます。オランダガラシは種子と根茎によって増えます。名前の由来は、オランダからもたされた「からし菜」で、オランダガラシになったとされています。一般にはフランス語のクレソン(Cresson)で呼ばれ、その独特の辛みがステーキやハンバーグなど、肉料理の付け合わせには欠かせないものになっています。またカルシウム、鉄分、ビタミンC、カロチンなどを豊富に含むことから健康食品としても期待されています。全草にフラボイド配糖体などの成分があり、神経痛、リュウマチ、食欲不振などに効果があるという(参考文献:薬になる植物図鑑、柏書房)。しかしながら繁殖力が旺盛であることから、水辺に生える在来植物への懸念もあり、「生態系被害防止外来種」に指定されています。
2020年08月10日