江の島の植物・ハマビワ江の島では、かもめ駐車場の南側歩道わきに多く植栽されており、聖天島公園や亀ヶ岡広場の一角でも見ることができます。
江の島の植物・ハマビワ
江の島の植物
・ハマビワ
2021年01月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
ハマビワ(浜琵琶)Litsea japonicaはクスノキ科ハマビワ属の常緑高木で、本州(中国地方西部)、四国、九州、沖縄に分布し、暖地の海岸近くに生えます。樹高は5~10㍍になり、防風や防潮、砂防用として、また公園樹としても利用されています。江の島では、かもめ駐車場の南側歩道わきに多く植栽されており、聖天島公園や亀ヶ岡広場の一角でも見ることができます。樹皮は淡褐色。葉は単葉で枝先に集まって互生し、長さは7~15㌢、幅は3~5㌢の狭長楕円形、厚い革質で全縁、へりは裏側へそり返ります。表面は無毛でやや光沢があり、側脈は8~12対で裏側に隆起します。葉柄の長さは2~3㌢、葉の裏側と葉柄には褐色の軟毛が密生します。雌雄異株で花期は 9~10月、葉腋に黄白色の小さな花をもつ花序が数個つきます。その内の1個の花序には筒状の花が5~6個あり、花序の外側に総苞片が4~6個、ほぼ円形で直径およそ8㍉に、外側には軟毛が密生します。
雄花の雌しべは小さく不稔、雄しべは9~12個あり長さは約6㍉で花冠から外へ突き出ます。雌花の花は筒状で上部は6裂に、雌しべ1個と仮雄しべが6個あり、子房は球形で柱頭は2~3裂します。果実は液果で長さ約1.5㌢の楕円形、翌年の春~初夏にかけて碧紫色に熟し、基部には杯状の果床がつきます。和名の由来は、葉がバラ科のビワに似て、海岸に生えることによるとされています。ビワの実は弦楽器の琵琶の形に似ていますが、琵琶が中国や朝鮮を経て日本に伝来したのは奈良時代とされています。しかし、それ以前に枇杷の名は日本最古の「本草和名」や「正倉院文書」にみられることから、ビワの語源は中国語の「枇杷(ピパ)」が訛って「ビワ」と呼ばれるようになったものと考えられています。
2021年01月25日