順礼峠の地蔵さま厚木 七沢森林公園の順礼峠の地蔵。順礼の老人と娘が悪者に襲われ殺されてしまい、その供養に地蔵尊を建立したという。
続・湘南のお地蔵さま(51)『順礼峠の地蔵』
2021年3月10日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(51)『順礼峠の地蔵』中島淳一 厚木市 七沢
厚木バスセンターから森の里行きのバスに乗り終点で下車。その先の左カーブを道なりに進み「森のアトリエ」の看板を見つけたらその右側の木の階段を登る。少し行くと眼下に広い駐車場が見え県立七沢森林公園に入るが、そのまま道なりに坂道を登ると「とうげの広場」に出る。この公園は大きな住宅地に隣接し日本都市公園一〇〇選にも選ばれており、広さは横浜スタジアム二十四個分もある。雑木林が広がる自然豊かな公園で、その北口近くの高台にこの広場(順礼峠)があり、そこに順礼峠の地蔵が祀られる。
この場所は坂東三十三観音霊場をつなぐ順(巡)礼道の途中にあるが、この峠には悲しい言い伝えが残る。江戸の頃、順礼の旅をしていた老人と娘がこのあたりを通りかかった時、悪者に襲われ殺されてしまった。その二人を哀れに思った地元の人々が、その供養のためにこの地蔵尊を建立したという。石造りで右手に錫杖左手に宝珠を持ち半跏坐で、石柱の上からしっかりと前を見て訪れる人々の安全を見守っている。自然豊かな森林公園のシンボルとして今も愛されるお地蔵さま。その鎮座する峠へ続く道は何本かあるが、初めての方には最初に紹介した道をお薦めする。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2021年3月8日