江の島の植物オガタマノキ江の島ではサムエル・コッキング苑でその高木を見ることができます。
江の島の植物・オガタマノキ
2021年4月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
オガタマノキ(招霊の木)Magnolia compressa はモクレン科モクレン属の常緑高木で、本州(千葉県以西)、四国、九州、沖縄などの暖地に自生する日本固有種、神社境内などにもよく植えられ、かつて神事などにも用いられてきまました。江の島ではサムエル・コッキング苑でその高木を見ることができます。樹高は10㍍以上に、樹皮は暗褐色で、いぼ状の皮目があります。葉は互生し、葉身は5~12㌢、幅2~4㌢の長楕円形で革質、表面は深緑色で光沢があり、縁は全縁でやや波うち、先端は尖り、裏面は白色を帯びます。葉柄は有毛で長さは2~3㌢。花期は2~3月、葉腋から直径3~4㌢の芳香のある花を単生します。花弁と萼片はすべて花弁状で、合わせて12個あり、いずれも白色で、基部は紅紫色を帯びます。
果実は袋果が集まった集合果で、長さは5~10㌢の房状で、秋には熟して赤い種子を落とします。名前はオギタマ(招霊)の木で、かつて、神前にささげるサカキ(榊・賢木)として、神社境内などによく植えられていました。材は床柱、家具、器具材に、葉は香料に用いられます。同じモクレン科モクレン属にカラタネオガタマ(唐種招霊)があり、中国原産で、江戸時代に渡来したとされています。常緑小高木で高さは3~5㍍になり、幹は灰褐色、枝や花柄に黄褐色の毛が密生します。江の島では中津宮広場に若木が植栽されており、手にとって見ることができます。花期は5~6月で、花は淡黄色で花被片は6個、甘い香りを放ちます。花は1~2日で散りますが、新しく次から次へと咲くので、10日間ぐらい楽しむことができます。
2021年4月10日