江の島の植物マツヨイグサ江の島では海辺や路傍などで見ることができます
江の島の植物・マツヨイグサ
2021年6月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
マツヨイグサ(待宵草)Oenothera strictaはアカバナ科マツヨイグサ属の越年草で、原産は南米のチリとされ、幕末のころ渡来して観賞用に栽培されたものが野生化し、現在では海岸や河原などに生育しています。江の島では海辺や路傍などで見ることができます。茎は直立して、高さは30~90㌢でやや赤みを帯び、全体に毛があります。茎葉は互生して長さは5~10㌢に、葉柄はなく、狭楕円状披針形、中央脈は白色で、縁には波状の鋸歯があり、葉の先端は鋭く尖ります。根生葉は花期にも見られます。5~8月、葉腋に黄色い花を1個つけ、夕方開き翌朝にしぼむ1日花です。花の径は約5㌢、花弁は広倒卵形で先が凹み、長さは1.5~2.0㌢に、しぼむと花は黄赤色になります。
雄しべは8本あり葯はT字形に、雌しべは1本で、花冠の中心から伸びて先端は4裂し十字の形になります。萼片は4個でそり反り、花托筒の長さは2~4㌢で、下部に子房があります。花は日がくれて暗くなると開花し、翌朝、花の多くは日が昇る頃にしぼんで全体が黄赤色に変わります。さく果は円柱形で長さは3~4㌢に、熟すと4裂して種子を放ちます。和名の由来は、夕方になると花を開くことから宵を待つ草で、待宵草(マツヨイグサ)になったとされています。同じような花を開くアカバナ科の植物に、コマツヨイグサ、メマツヨイグサ、オオマツヨイグサなどがあり、江の島の海辺などでも見ることができます。詩人の竹久夢二(1884~1934)による詩歌に、[宵待草(よいまちぐさ)]がありますが、この詩歌に作曲家の多忠亮(おおのただすけ)が曲をつけたところ、この歌は爆発的に流行したとされています。
2021年6月25日