お地蔵さま『化粧地蔵』小田急相武台駅, 化粧地蔵。鮮やかな赤い色の帽子とマント、涎掛け、ポーチをおしゃれに身につける。
続・湘南のお地蔵さま『化粧地蔵』
2021年7月8日 (江ノ電沿線新聞)
『化粧地蔵』 座間市 栗原中央 中島淳一
小田急相武台駅よりバスに乗り上栗原で下車。道路反対側にバス停があり、その裏側に北西を向いて小さなお堂が建ち、石造りの化粧地蔵が祀られる。おそらくお地蔵さまの見守る狭い道路が昔からの道なのであろう。 蓮台に立ち胸前で合掌する姿で、鮮やかな赤い色の帽子とマント、涎掛け、ポーチをおしゃれに身につける。お体に彫られた衣文の流れも自然で美しく、近年新たに補われたと思われるお顔には漆黒の細い線で引かれた眉と切れ長の目が描かれ、唇には真紅の口紅をつける。この印象的なお顔の様子から化粧地蔵の名がついたのであろう。 堂内には季節の花々や千羽鶴がいくつも飾られ、地蔵講の女性の方々を中心に地元では子育地蔵として信仰されているようである。お地蔵さまの後ろにその由来が書かれているようだが、今は読み取ることが難しい。 化粧地蔵は地蔵盆が盛んな関西方面で、お盆前に子どもたちが純真な気持ちでお地蔵さまのお顔を石像に描く風習としてよく知られるが、この座間の化粧地蔵は上品な艶っぽさを感じさせ、妖艶かつ高貴な観音様として有名な京都泉涌寺(せんにゅうじ)の楊貴妃観音にも引けを取らない美しいお地蔵さまである。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2021年7月8日