江の島の植物・マルバアサガオ
2021年9月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
マルバアサガオ(丸葉朝顔)Ipomoea purpureaはヒルガオ科サツマイモ属、つる性の1年草で原産地は熱帯アメリカ、江戸時代に観賞用として渡来し、野生化して各地に広まったものとされています。江の島では参道わきの、比較的日当たりのよい場所で見ることができます。茎はつる性で、左巻きに他物に絡みながら伸び、長さは2㍍以上にもなります。葉は互生し、葉柄の長さは3~10㌢、葉身は円形で長さは5~13㌢、基部は心形で縁は全縁、先端は急に尖り、葉の両面に短毛があります。花期は7~9月、葉腋から長い花柄をだし、その先端に1~5個の花をつけ、茎や花柄には下向きの毛が目立ちます。花は漏斗形で長さは4~6㌢、花冠は円形で直径5~8㌢、中心部は白っぽく見えます。雄しべや雌しべは花筒内にあって、花冠からつき出ません。
萼は5深裂して反り返り、花柄の基部には一対の苞葉があります。蒴果は偏球形で3室あり、それぞれ2個ずつの種子が入って計6個、下向きに熟します。花冠の色には赤・青・白・紫など色々ありますが、江の島の参道わきで見られる花は紫色です。名前はアサガオの仲間で、葉が丸いことから「丸葉朝顔(マルバアサガオ)」と呼ばれ、アサガオ(朝顔)の語源は、早朝に咲き昼にしぼむこの花を、朝の美人の顔に喩えたものとされています。アサガオは平安初期に遣唐使が薬用植物として持ち帰ったとされています。さらに江戸後期には園芸植物として改良され、花色は紫・紅・藍・白・絞りなど、多くの品種がつくりだされました。 東京入谷の鬼子母神境内で開かれる朝顔市は、江戸末期から続き、多くの人出で賑わい、その規模は日本最大とされています。
2021年9月25日