江の島の植物 ムラサキケマン
江の島では裏参道わきなどの湿った場所で見ることができ、全体が柔らかくて傷をつけると悪臭があります
江の島では裏参道わきなどの湿った場所で見ることができ、全体が柔らかくて傷をつけると悪臭があります
江の島の植物・ムラサキケマン
2022年03月25日 写真&文:坪倉 兌雄
ムラサキケマン(紫華鬘)Corydalis incisaは日本全土に分布するケシ科キケマン属の越年草で、やや湿ったところに生えます。江の島では裏参道わきなどの湿った場所で見ることができ、全体が柔らかくて傷をつけると悪臭があります。全草にアルカロイドの有毒成分を含み、誤食すると嘔吐や、心臓麻痺などを起こすとされています。茎には稜があり四角形で柔らかく、高さは20~50㌢になります。葉は全体に白緑色で互生し、2~3回羽状複葉、小葉はさらに細かく切れ込みます。花期は4~6月、花は紅紫色で茎の上部につき、長さは1~2㌢の筒状、先は唇形の花を総状に多数つけます。花弁は4個あり、外側の花弁2個はやや大きく、内側の花弁2個は上部が合着します。萼片は2個で、長さは約2㍉です。
花後、さく果は柄の先端に下向きにつき、長さは約1.5㌢に、熟すと果柄から離れ落ちて2つに裂け、丸まってはじけて黒い種子を散らします。全草に有毒成分があり、誤って食べると危険です。和名の由来は、花の形が仏殿の欄間などに飾る華鬘(けまん)に似て、花の色が紫色であることから、紫華鬘(ムラサキケマン)。同じケマン属で、黄色い花を咲かせるものをキケマン(黄華鬘)といいます。このキケマンはムラサキケマンと同じで、江の島のやや湿った場所に生育し、また海辺の山側などでも見ることができます。黄色い花を咲かせるミヤマキケマンやツルケマンなどは、江の島では確認していません。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年03月25日