江の島の植物・マメヅタ
江の島では裏参道のやや日の当たる岩の上や、海側の崖などで生育したマメヅタを見ることができます
江の島では裏参道のやや日の当たる岩の上や、海側の崖などで生育したマメヅタを見ることができます
江の島の植物・マメヅタ
2022年04月10日 写真&文:坪倉 兌雄
マメヅタ(豆蔦)Lemmaphyllum micropyllumは、ウラボシカ科マメヅタ属の常緑多年性シダ植物で、本州南部~九州の暖地に分布し、岩上や樹皮上に着床し、細い匍匐茎をつたのように伸ばして生育します。江の島では裏参道のやや日の当たる岩の上や、海側の崖などで生育したマメヅタを見ることができます。匍匐茎は小さい褐色の鱗片を密につけ、葉をまばらにつけながら地表を這い、長さは1㍍にも達します。葉には裸葉(栄養葉)と実葉(胞子葉)があり、いずれも肉質で厚く、裸葉は卵円形で表面に艶があり、長さは1~2㌢、短い葉柄があり、裏面はやや白っぽくなり、岩場などにほぼ水平につきます。胞子葉は細長いへら形で、立ち上がり長さは2~4㌢、幅は3~6㍉、胞子嚢郡(ソーラス)は線形で中助の両側に1列につき、熟すと一面に広がります。
マメヅタの名の由来は、青色の丸い栄養葉が豆に似ることに由来し、別名ではイワマメ(岩豆)、マメゴケ(豆苔)、マメヅル(豆蔦)などと、いずれも「豆」をつけて呼ばれています。マメヅタの小さくて艶のある緑色の丸い栄養葉が好まれ、盆栽などにもよく用いられています。シダ植物は、種子植物と同じように茎、根、葉などの器官を貫く条束状の組織(水分や体内物質の移動通路)をもつ維管束植物ですが、繫殖は胞子で行い、種子植物のように花を咲かせて種子を形成することはありません。シダ植物の種類は多く、それぞれに特徴のある大小の葉を広げることから、観賞植物として神社やお寺、庭園などにもよく植栽されています。また空き地や里山などで見られるツクシ(トクサ科トクサ属)、ゼンマイ(ゼンマイ科ゼンマイ属)、ワラビ(コバノシカグマ科ワラビ属)、クサソテツ(コウヤワラビ科クサソテツ属)など、これらのシダ植物の若芽は古くから山菜として食材に用いられてきました。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年04月10日