江の島の植物・ムクゲ
江の島ではサムエル・コッキング苑や江の島大師の境内などで見ることができます。
江の島ではサムエル・コッキング苑や江の島大師の境内などで見ることができます。
江の島の植物・ムクゲ
2022年07月25日 写真&文:坪倉 兌雄
ムクゲ(木槿)Hibiscus syriacus)はアオイ科フヨウ属の落葉低木で、原産地は中国、インド、わが国には奈良時代に渡来し、国内の各地に植栽されています。江の島ではサムエル・コッキング苑や江の島大師の境内などで見ることができます。樹高は3~4㍍で、樹皮は滑らかで灰褐色。根元や幹からよく枝分かれして伸び、枝も直線的に伸びて、しなやかで強じんです。葉は互生して、長さは4~10㌢、幅3~5㌢の卵状披針形で上部には粗い欠刻状鋸歯があり、先端は尖り基部は楔形。葉柄の長さは約10㍉で短毛が密生します。葉柄の基部にある托葉は線形で長さは約6㍉。花は1日花で、蕾がたくさんつきます。花期は7~10月と長く、本年枝の葉腋に紅紫色の1日花を次々と開きます。花の直径は6~10㌢で、花弁は5個あります。
多数の雄しべの花糸が根本で融合し、筒状(単体雄ずい)になって伸び、この筒の中を通って伸び出た花柱の先端に、5裂した柱頭(雌しべ)が見られます。蒴果は球形で直径約2.5㌢、熟すと5裂して茶褐色の長い毛のある種子を多数だします。ムクゲの名の由来は、漢語の「木槿(モッキン)」が転じてモッコクになった、との説があります。ムクゲの園芸種も多く、八重咲きや桃色や白色などがあり、公園樹や庭木として植栽され、また花材などにも用いられます。ムクゲのほぼ全体に薬効成分があり、それぞれに生薬名がつけられています。根は木槿根(モクキンコ)・樹皮は木槿皮(モクキンピ)・花(モクキンカ)・果実(モクキンシ)などがあり、用途もそれぞれ異なります。ムクゲと同じ時期に開花する、仲間のフヨウ(Fibiscus mutabilis)も江の島でも見ることができます。ムクゲと同じような1日花を開きますが、花は淡紅色で直径10~14㌢の大輪に、葉形は掌状に浅く3~7裂して直径10~20㌢になり、いずれもムクゲより大型です。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年07月25日