江の島の植物・ツルボ
江の島では広場のすみっこや空き地などで見ることができますが、定期的に清掃が行われ雑草として刈り取られるため・・・
江の島では広場のすみっこや空き地などで見ることができますが、定期的に清掃が行われ雑草として刈り取られるため・・・
江の島の植物・ツルボ
2022年10月10日 写真&文:坪倉 兌雄
ツルボ (蔓穂)Barnardia japonicaはキジカクシ科ツルボ属の多年草で、日本全土に分布し、山野の日当たりの良い場所に生えます。江の島では、広場のすみっこや空き地などで見ることができますが、島は多くの人々が訪れる観光の地、定期的に清掃が行われ、雑草として刈り取られるため、生育場所もほんの一部に限られています。地下の鱗茎は約2㌢の卵球形で、外皮は黒褐色、栄養生殖でも増えると考えられます。ツルボは3月頃に葉をだして光合成を行い、球根に栄養を蓄えたのち、5月には葉を落として休眠します。8~9月に再び葉をだし、花径をのばします。葉は根生葉で倒披針形、鋭頭で質は厚くて柔らかく、長さは10~25㌢、幅4~6㍉に。葉の間から花茎を出して直立、花茎の高さは20~40㌢になり、その先端に4~7㌢の総状花序をだし、淡紫色の花を多数つけます。
ツルボの花は下から咲き上がります。花被片は6個で平に開き、長楕円状披針形で長さは3~4㍉、雄しべは6個で長さは花被片とほぼ同じ、花糸は糸状で下部は広がり、上部の葯が目立ちます。雌しべの長さは約4㍉、花柱の長さは1.7㍉になります。受粉後、子房は成長して緑色になります。果実は倒卵形で長さは4㍉に。和名の由来は定かではありませんが、つるのような花茎に穂状の花をつけることから「ツルボ(蔓穂)」に、また鱗茎は食用になりますが、この外皮を取り除くとつるっとした坊主頭に似ることからツルボウズ、これが転化してツルボに、など。別名のサンダイガサは、花の形が、公卿が宮中(きゅうちゅう)に参内(さんだい)する際に、供人がさしかけた傘に似ることによる、とされています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年010月10日