江の島の植物・ヤブマオ
北海道~九州に分布し、江の島では参道わきのやや湿った場所で見ることができます
北海道~九州に分布し、江の島では参道わきのやや湿った場所で見ることができます
江の島の植物・ヤブマオ
2022年10月25日 写真&文:坪倉 兌雄
ヤブマオ(藪麻苧)Boehmeria longispicaはイラクサ科カラムシ属の多年草で雌雄同珠。北海道~九州に分布し、江の島では参道わきのやや湿った場所で見ることができます。茎には短毛があり、高さは0.5~1㍍に。葉は対生して、長い葉柄があり、卵円形で質はやや厚くてざらつき、長さは10~20㌢に、先端は尾状に尖ります。葉のふちにはあらい鋸歯があり、裏面に短毛が見られやや白みをおびます。花期は7~10月、葉腋から花軸が紐状にのびて、その上に雌花序がつき、目立ちますが、一方、雄花序は茎の下方について目立ちません。ヤブマオは無性生殖で種子をつくることができ、雄花序は特に必要とせず、株によっては雄花序のないものもあります。雌花の花被片2個が合着してできた花被筒の中に果実があります。
和名はヤブ(藪)に生えるマオ(苧麻)でヤブマオ(藪苧麻)、マオ(苧・カラムシ)に似るが役に立たないので藪を冠したとの説もあります。江の島に生えるイラクサ科カラムシ属の多年草に、ヤブマオの他にラセイタソウ、アオカラムシ、イラクサ、アカソなどがあり、やや湿った場所に生えますが、ラセイタソウは海辺の岩場などにもよく生育しています。カラムシやアオカラムシの葉は互生しますが、その他の葉は対生につきます。若葉はいずれも和え物やおひたしなどにして食べられますが、イラクサの茎や葉に毛のような刺があり、うっかり触ると強い痛みをともなうので注意が必要です。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年010月25日