江の島の植物・ジャノメエリカ
2023年05月20日 写真&文:坪倉 兌雄
ジャノメエリカ(蛇の目エリカ)Erica canaliculataは、ツツジ科エリカ属の常緑低木、原産地は南アフリカで、大正年間に渡来したとされ、暖かい地域では路地植えも可能とされています。江の島ではサムエル・コッキング苑で見ることができます。樹皮は灰褐色で直立し、高さは2~3㍍に、よく枝分かれして斜め上に伸び、小枝には軟毛があります。葉は緑色の線形で長さは4~6㍉、質は厚く、3輪生する単葉、縁は裏側に巻き、葉裏は綿毛が密生して、やや白っぽく見えます。花期は2~3月、小枝の先にピンク色の花が、樹木全体を覆い、美しい景観をつくります。花柄は細く赤色で、腺毛があり、長さは約4㍉に、花の大部分は3個ずつ束生し、花冠はピンク色の鐘形で直径約4㍉、先端は浅く4裂します。
小枝や葉裏に綿毛が密生
枝は斜上する
花は密に咲く
花の基部につく苞は小さく、萼は花被の外側にあって花弁をかこみます。雄しべは8本で花柱を囲み、葯は黒褐色で花冠から出て目立ちます。花柱は細く、花冠から突出して、柱頭は赤色になります。果実は蒴果です。花の少ないこの時期(2~3月)に、立木全体がこの小さな赤い花でびっしりと覆われて、見事な景観をつくり人目をひきます。関東地方南部以西の、暖かい地域では、ジャノメエリカを庭木として地植えにし、また挿し木で増やすこともできますが、冬季にマイナス5度以下になる地域では、鉢植えにして、室内での温度管理が必要となります。名前の由来は、雄しべの先端につく葯が黒く、これを「蛇の目」に見たてたもの、とされています。別名で、「クロシベエリカ(黒蕊えりか)」とも呼ばれています。
参考文献:山渓カラー名鑑・日本の樹木、山と渓谷社ほか。
参考文献:山渓カラー名鑑・日本の樹木、山と渓谷社ほか。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年05月20日