江の島の植物・ドウダンツツジ
2023年05月30日 写真&文:坪倉 兌雄
ドウダンツツジ(灯台躑躅)Enkianthus perulatusはツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木、原産地は日本で、本州、四国、九州に分布し、山地の蛇紋岩などの日当たりのよいやせ地に自生します。江の島では中津宮広場やサムエル・コッキング苑などに観賞用に植栽されています。根元からよく枝分かれして、樹高は1~2㍍に、樹皮は灰褐色~淡褐色で滑らか。葉は枝先に輪生状に互生し、長さは2~4㌢、幅1~1.5㌢の倒卵形、縁に細鋸歯があり、先端は尖ります。花期は4~5月の上旬、新葉と同時に、枝先に6~8㍉のスズランに似た白い小さな壷形の花を2~5個、散形状に吊り下げます。花冠の基部はやや隆起して、先端は浅く5裂します。果実は蒴果で楕円形、熟すと5つに割れます。葉は緑色で美しく、秋にはオレンジ色になり、さらに赤色に色づいて、美しい景観をつくります。
葉は枝先に輪生状に互生する
花を散形状に吊り下げる
花の先端は浅く5裂する
ドウダンツツジは刈込に強く、また萌芽力が旺盛で細い枝を密生することから、刈込によって色々な形に整えることができます。庭木や生垣、公園樹や街路樹、鉢植えや盆栽などにもよく用いられていますが、翌年の花芽は8月中旬頃とされていますので、剪定は花が終わったら7月までに行なうのが無難です。名前の由来は、細い枝振りが、かつて用いられていた燈明台を支える3本脚に似ることから、トウダイ~ドウダンに変化した、との説があります。このドウダンとは3本の棒の一か所を紐で結び、上下を開いて立て、その上部に油皿を置いたものです。同じツツジ科の植物にアセビがあり、ドウダンツツジに似た小さな壷形の花を開きます。開花時期は両者で異なり、アセビは2月下旬~4月上旬に開花し穂状花序に花をつけ、ドウダンツツジは4月中旬~5月上旬に開花して個々の花がぶら下がるようにして咲きます。アセビは常緑樹で、葉は枝先に集まってつきますが、ドウダンツツジは枝先に5~6枚集まって輪生状につき、秋には真っ赤に紅葉して落葉します。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年05月30日