江の島の植物・トウジュロ
2023年06月10日 写真&文:坪倉 兌雄
トウジュロ(唐棕櫚)Trachycarpus wagnerianusはヤシ科シュロ属の常緑高木、原産地は中国南部で、雌雄異株。日本には古くに持ち込まれ、関東以西の神社やお寺の境内に、公園や庭園などにも観賞用としてよく植えられています。江の島では神社境内やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。幹は円柱形で、暗褐色の繊維で厚く覆われて、分枝することなく垂直に伸び、樹高は8~10㍍になり、幹の頂部から長い葉柄をもつ葉を叢生します。葉は扇状に広がり、葉柄の長さは45~80㌢で断面は三角状、葉は直径30~50㌢で、掌状に多数深裂しますが、裂片はかたく下垂しません。花期は5~6月、葉の間から分岐した肉質の円錐花序をだし、雄株には雄花がつき、黄緑色の粒状の小さな花を密につけ、雌株には淡緑色の雌花と両性花があります。
幹を覆う暗褐色の繊維
葉の裂片は折曲がらない
シュロの葉の裂片は折曲がる
果実は長さ約1㌢の扁球形で、10~11月に青黒色に熟します。種子は鳥などによって運ばれて、山野に生育することもあります。同属のシュロ「T、fortunei(棕櫚)」は日本原産で、高さ5~10㍍になり、葉は直径50~80㌢で、トウジュロよりやや大きく、葉先が二つに裂け、その裂片が折曲がることなどから、トウジュロと区別することができます。
昭和の初期には、シュロの葉でつくった蠅(はえ)たたきや、夏用の帽子、敷物などが、生活のなかに多く取り入れられていました。シュロの幹は、お寺の鐘をつく撞木(しゅもく)などにも用いられています。トウジュロやシュロの幹を覆う暗褐色の線維は、しなやかで細く弾力性にとみ、強じんであることから、現在でも箒(ほうき)や、たわしの原料として、また建築用ロープや漁網などに用いられています。名前の由来は、中国名の「棕櫚」を和音読みにしたもので、「棕櫚」は「真っすぐに縦に通る堅い木」を意味するとされています(参考・語源辞典)。
昭和の初期には、シュロの葉でつくった蠅(はえ)たたきや、夏用の帽子、敷物などが、生活のなかに多く取り入れられていました。シュロの幹は、お寺の鐘をつく撞木(しゅもく)などにも用いられています。トウジュロやシュロの幹を覆う暗褐色の線維は、しなやかで細く弾力性にとみ、強じんであることから、現在でも箒(ほうき)や、たわしの原料として、また建築用ロープや漁網などに用いられています。名前の由来は、中国名の「棕櫚」を和音読みにしたもので、「棕櫚」は「真っすぐに縦に通る堅い木」を意味するとされています(参考・語源辞典)。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年06月10日