続・湘南のお地蔵さま 叶地蔵鎌倉駅からバス 泉水橋で下車。この寺開基は鎌倉幕府四代将軍藤原頼経で、幕府の鬼門除け祈願寺として創建された古刹である。
続・湘南のお地蔵さま『叶地蔵』
続・湘南のお地蔵さま
『叶地蔵』
2023年7月16日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(79)『叶地蔵』
鎌倉市 十二所 中島淳一
鎌倉市 十二所 中島淳一
鎌倉駅から朝比奈方面行のバスに乗り泉水橋で下車、少し先を左に入ると正面に明王院の冠木(かぶき)門が見える。この寺は真言宗泉涌寺派に属し開基は鎌倉幕府四代将軍藤原頼経で、幕府の鬼門除け祈願寺として嘉禎元年(一二三五)に創建された古刹である。別名を五大堂といい鎌倉では唯一五大明王を本尊として安置し、毎月二十八日には護摩法要が営まれる。中でも不動明王は鎌倉初期の傑作で有名な仏師肥後別当定慶の作である。
茅葺き屋根の風情ある本堂手前に石造の叶地蔵が祀られる。右手に錫杖左手に宝珠を持ち、やさしいお顔に頭光をつけ衣の裾を蓮台にふわりと懸ける。江戸時代末頃の造立であろうか。鎌倉二十四ヶ所地蔵巡りの番外霊場である。
その名の由来は寺にも伝わらないようだが、創建以来国家や人々の様々な願いを叶えてきた祈願寺安置の地蔵尊ゆえの名前なのだろうか。基礎石に刻まれた叶地蔵建立者名の最後に一人だけ横須賀市浦賀の商家の女性の名が見えるが、浦賀には源頼朝が源氏再興を祈願し成就した叶神社が鎮座する。偶然であろうか。
私には男性ばかりの建立者の中にあえてその名を刻んだ女性の、お地蔵さまに対する強い思いが叶地蔵の名を今に伝えているような気がする。
茅葺き屋根の風情ある本堂手前に石造の叶地蔵が祀られる。右手に錫杖左手に宝珠を持ち、やさしいお顔に頭光をつけ衣の裾を蓮台にふわりと懸ける。江戸時代末頃の造立であろうか。鎌倉二十四ヶ所地蔵巡りの番外霊場である。
その名の由来は寺にも伝わらないようだが、創建以来国家や人々の様々な願いを叶えてきた祈願寺安置の地蔵尊ゆえの名前なのだろうか。基礎石に刻まれた叶地蔵建立者名の最後に一人だけ横須賀市浦賀の商家の女性の名が見えるが、浦賀には源頼朝が源氏再興を祈願し成就した叶神社が鎮座する。偶然であろうか。
私には男性ばかりの建立者の中にあえてその名を刻んだ女性の、お地蔵さまに対する強い思いが叶地蔵の名を今に伝えているような気がする。
写真提供 明王院
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年7月16日