江の島の植物・ヒメジョオン
2023年8月20日 (坪倉兌雄)
ヒメジョオン(姫女菀)Erigeron annuugは北アメリカ原産のキク科ムカシヨモギ属の1~2年草で、明治初年に観賞用として渡来した帰化植物で、野生化して各地に広まったものとされています。江の島では空き地や広場、参道わきなどで見ることができます。根生葉は卵形で柄は長く、縁に粗い鋸歯がありますが、花の頃にはありません。茎の長さは30~130㌢で粗い毛があり、その先端に頭花をつけます。茎の上部につく葉は披針形で、鋸歯はなく先端は尖り、葉は茎を抱きません。花期は6~10月で上部の枝先に複数の頭花をつけます。頭花は約2㌢で、舌状花は白色または淡紫色を帯び、筒状花は黄色で冠毛があります。痩果は長楕円形、長さは約0.8㍉です。
ヒメジョオンは仲間のハルジオンに似ていますが、花のころに根生葉がない、葉が茎を抱かない、茎は中空ではなく白色の髄で満たされている、またヒメジョオンの花びらには幅があり、ハルジオンの花びらは糸状、などで区別できます。ヒメジョオンは仲間のハルジオンと共に、日本の侵略的外来種ワースト100の中に含まれており、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。和名の由来は、草姿がシオン(紫苑)に似るが、それより小形であることから姫を冠して姫女苑(ヒメジョオン)とした、などが考えられますが定かではありません。ヒメジョオンやハルジオンと同じキク科の帰化植物に、北アメリカ原産のヒメムカシヨモギ、南アメリカ原産のアレチノギクやオオアレチノギクなどがあり、いずれも明治~大正時代に帰化した1~越年草で、江の島の空き地や路傍なので普通に見ることができます。
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