江の島の植物・カルミア
2023年7月10日 (坪倉兌雄)
カルミア(Kalmia latifolia)はツツジ科カルミア属の常緑低木で、原産は北アメリカ東部、明治45年(1912)に、日米友好関係の発展を願い、東京市が贈った桜の返礼として、わが国へは大正4年(1915)に、ハナミズキと共に渡来しました。原産地では樹高が10㍍にもなるとされています。カルミアが園芸植物としてよく知られるようになったのは昭和30年代の後半で、別名はアメリカシャクナゲ、ハナガサシャクナゲとも呼ばれています。江の島ではサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹高は1~2㍍、樹皮は暗褐色で、縦に割れ目が入り、若い枝には細かい毛が見られます。葉は互生し、枝先に集まって輪生状につき、葉柄の長さは0.7~2.5㌢。葉は革質で厚くやや光沢があり、長楕円形で長さ6~10㌢、幅3~4㌢、全縁で先端は尖ります。
花期は5月頃、集散花序に淡黄色の花を5個~数十個開きます。萼片は5裂して腺毛が生え、蕾は突起のある金平糖形、花冠は直径約2㌢の椀形で5裂し、基部に紅色の斑点があります。雌しべは1個で花柱の長さは約4㍉、雄しべは10個で葯は花弁の窪みに填まり、昆虫の飛来を受けると窪みから外れて花粉を飛ばします。開花期間はおよそ一ヶ月、花後に球形の果実(蒴果)がつき、秋には褐色に熟しますが花柱と萼は残ります。果実には小さな褐色の種子が多数あり、果皮が裂開して多数の種子を拡散します。しかし花びらは散らずに茶色~褐色を帯びて残ります。カルミアは植物全体に有毒成分「グラヤノトキシン」などを含み、誤って食すると嘔吐や頭痛などを引き起こし、重篤化すると心筋梗塞などの危険性もあるとされています。名前の由来は、スウエーデンの植物学者で、アメリカの植物を採集した「ペールカルム(P.Kalm、1715-79)」の名に因んだもの、とされています。
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