江の島の植物・キキョウソウ
2024年01月20日 (坪倉兌雄)
キキョウソウ(桔梗草)Triodanis perfoliataはキキョウ科キキョウ属の1年草、原産地は北アメリカで、明治の中頃に栽培目的で持ち込まれたものが逸出し、現在では東北地方から四国、九州に帰化し、草むらや荒地などに生育しています。江の島では歩道わきや空き地、広場の一角などで見ることができます。茎は根本で分枝して直立し、やや硬くて稜があり、高さは15~50㌢に、上部での分枝はほとんど見られません。葉は円形で葉柄はなく、基部は心形で、ふちに粗い鋸歯があり、長さは1~3㌢、茎、葉、萼片などに白毛が見られます。花期は4~6月、5月頃までは自家受粉による閉鎖花を下部の葉腋に形成します。閉鎖花につく萼筒の上部裂片は、3~4個で三角状。閉鎖花とは花冠を開かないで、自花の雌しべと雄しべの間で受粉・受精する花をいいます(自家受精)。
その後、上部の葉腋に開放花を1~3個つけ、紫色の小さな美しい花を開きます。花冠はおよそ1.6㌢で5深裂、裂片は長楕円形で先端は鈍頭。萼筒の上部裂片は5個で三角状披針形。さく果は円筒形で長さは約5㍉、種子の長さは約0.5㍉で褐色。名前の由来は、花が「キキョウ(桔梗)」の花に似ることによるとされています。
「キキョウ」は北海道~九州に分布する多年草で、日当たりの良い山地や野原に生えますが、江の島には自生していません。草丈は40~100㌢、花は鐘形の青紫色で美しく、古くから栽培もされていました。秋の七草の1つ「朝貌(あさがお)」はキキョウともいわれています。筆者が子供の頃は、盆花(ぼんばな)として仏前に供え、またお墓にもよく植えられていました。現在は生育する場所が激減し、絶滅危惧種になっています。
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