江の島の植物・ハグマノキ
2024年04月10日 (坪倉兌雄)
ハグマノキ(白熊の木)Cotinus coggygriaはウルシ科ハグマノキ属の落葉小高木で、原産地は中国南部~南ヨーロッパとされ、日本へは明治時代(1870年)に渡来したとされています。別名ではスモークツリー、カスミノキ(霞の木)、ケムリノキ(煙の木)とも呼ばれています。江の島ではサムエル・コッキング苑などで見ることができます。雌雄異株。樹皮は灰褐色で縦筋と皮目が散在し、樹高は3~5㍍に。葉は互生して、葉柄の長さ0,5~3㌢。葉身の長さは3~8㌢の卵形~倒卵形で、先端はやや尖り、基部は円形で葉縁は全縁、葉の色は暗緑色から赤色~紫色に移り変わり、葉柄や花柄も赤みを帯びて、葉の裏面の葉脈が目立ちます。花期は4~5月、枝先に長さ15~20㌢の円錐花序をだし、直径約0.3㌢で黄緑色の小さな花を多数つけます。
ハグマノキは雌雄異株で、花の中心に1本の雌しべがあるのが雌株、花の中心を5本の雄しべが取り巻くようにあるのが雄株です。結実(けつじつ)しなかった不稔性の雌しべの花柱は、花後に糸状に伸び、一見すると煙(スモーク)のような状態になります。果実は核果で腎臓形、直径約0.3㌢で紅色に熟します。ハグマノキはウルシ科の樹木で、樹液にウルシオール(urushiol)を含みます。体質的に肌が弱い人は、皮膚のかぶれや炎症を起こすこともあり、直接樹液に触れないように注意が必要です。ハグマノキは公園樹や庭木、鉢植えなどに用いられていますが、花はドライフラワーなどにして長く楽しむことができます。ハグマノキの名前の由来は「花がヤク(白熊)の毛を束ねて作った佛具の払子(ほっす)に似る」ことによるとされています。また雌株の花柱が糸状になり、一見すると煙(スモーク)のように見えることから「スモークツリー」に、また「カスミノキ」とも呼ばれています。
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