江の島の植物・キョウチクトウ
2024年06月20日 (坪倉兌雄)
キョウチクトウ(夾竹桃)Nerium oleander var. indicumは、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木で、原産はインド・中近東とされ、江戸時代中期に、中国経由で渡来したとされています。比較的長期間きれいな花を咲かせることから、暖地では観賞用によく植えられてきました。公害や潮風にも強い樹木であり、近年は高速道路や工場、公園樹、防潮林などにも、よく用いられています。樹皮は平滑で暗褐色。幹は株立ちして根本から多数枝分かれし、樹高は3~4㍍になります。若い枝は緑色ですが、のちに暗褐色になります。葉は長楕円形で、1節から3枚の葉をつけた3輪生、長さは7~25㌢、幅1.5~2.5㌢の線状披針形、ふちは全縁で、葉質は厚く光沢があり、先端は尖り、葉裏は淡白緑色に、葉の基部は茎を抱きます。花期は6~9月と長く、枝の先に集散花序をだして直径4~5㌢の花を多数つけます。
キョウチクトウの花には、淡紅色、白、紅色、八重咲などがあり、多くの園芸種もあります。花冠は筒状で、先は5裂に平開し、その裂片は螺旋状に重なります。雄しべは5個で花筒の上部につき、花糸は太くて短く、花粉の入った葯は細長いよじれた糸状、先端に毛のある付属物が見られます。雌しべは1個で他花受粉を行いますが、花の上部から雌しべを直接見ることはできません。萼は5裂、萼片は披針形で先は尖ります。果実は袋果ですが、実がつくのはごくまれです。キョウチクトウは美しい花を咲かせますが、樹木全体(根・葉・茎など)に有毒成分があり、口に含むと吐き気や嘔吐、腹痛やめまい、などの症状がおこることもあり危険です。取り扱いには充分な注意が必要です。名前の由来は、漢語「夾竹桃」の音読みで、「葉は竹のように狭く、桃のような花を咲かせる」の意味とされています。広島市では被爆後に、いち早くキョウチクトウの花が咲いたことから、復興のシンボルとして「市の花」に指定されています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2024年06月20日