江の島の植物・エビヅル
2024年12月20日 (坪倉兌雄)
エビヅル(蝦蔓)Vitis ficifoliaはぶどう科ブドウ属の落葉つる性木本で、雌雄異株。本州、四国、九州、沖縄に分布し、山野や林縁に生え、江の島では歩道わき、広場の片隅、龍野ヶ岡自然の森、参道わきなどで見ることができます。葉と対生する巻きひげをだして、他ものにからみながら生長し、本年枝には白い毛があります。葉は互生して、葉身は広卵状三角形、長さ幅とも5~8㌢で、3~5浅裂し、ふちには不揃いの浅い鋸歯があり、基部はハート形。葉柄の長さは2~8㌢で、淡い紫色の綿毛が生えます。葉の表面ば淡緑色、無毛で葉脈はくぼみます。裏面は細長い毛がからみあって、白っぽく見え、葉脈は隆起します。花期は6~8月、葉と対生して円錐花序をだし淡黄緑色の小さな花を多数つけます。
当年枝の葉に対生して円錐花序をだし、花は淡い黄緑色で小さく、花弁は5個で開花時に脱落します。雌花は小形でまばらにつき、雄花には長い5個の雄しべがあります。果実は液果で直径約5~6㍉の球形、9~10月に黒紫色に熟し、食べられます。茎、根、果実には薬効成分があり、利尿作用や腹痛などにも効果があるとされています。
名前の由来は、葉裏に密生する毛がエビの色に似ることによる、などの説があります。江の島に自生するブドウ科ブドウ属のつる性の植物には、エビヅルの他にサンカクヅル(三角蔓)、ヤマブドウ(山葡萄)、ノブドウ(野葡萄)などがあり、海辺の山側や参道わきなどで普通に見ることができます。ノブドウを除けば、いずれも果実は食べられます。ノブドウの果実には、ブドウタマバエやブドウトガリバチなどの幼虫が寄生し、虫えい(虫こぶ)が多く食べられません。
【写真&文:坪倉 兌雄】
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2024年12月20日