続・湘南のお地蔵さま(101)『一身六體(いっしんろくたい)地蔵』
2025年5月14日 (江ノ電沿線新聞)

続・湘南のお地蔵さま(101)『一身六體(いっしんろくたい)地蔵』
鎌倉市浄明寺 中島淳一
鎌倉駅からバスに乗り泉水橋で下車。金沢街道を渡って住宅地に入り、寺への案内板をたよりに進むと曹洞宗松久(しょうきゅう)寺に着く。創建は不明だが、永く江戸の三田村(現在の白金あたり)にあった。江戸時代後期に幕府が編集した江戸の地誌『御府内備考』によると、本尊は釈迦三尊(釈迦如来、迦葉、阿難)で、境内には江戸二十五天神の一つ花城(はなぎ)天満宮があり、『江戸名所図会』にも絵入りで紹介されている。そこには松久寺の屋根らしきものも描かれている。
鎌倉松久寺は静かな住宅地の中にあり、室町時代に泰安寺という寺のあった所と伝わる。本堂には宗派の本尊釈迦三尊像が、その奥には石造のお地蔵さまが祀られる。寺伝では寺の本尊と伝わる一身六體地蔵である。厨子に入り須弥壇上の蓮華座に立つ像で、手に宝珠を持つ一体の地蔵尊のお体には左右二体ずつと後ろに一体の地蔵尊が付随して彫出されている。
一身六體地蔵の名前には、死後六道に転生する人々を漏らさず救おうとするお地蔵さまの盤石な決意が感じられる。
普段は静かな禅刹だが、座禅や写経、童謡の会、芋煮会などが、法要と共に行われ地域に開かれた寺でもある。(拝観は寺務所にお声をおかけ下さい)












