江の島の植物・サルビア・グアラニチカ
2025年09月20日 (坪倉兌雄)

サルビア・グアラニチカ(Salvia guaranitica) はシソ科サルビア属で、宿根多年草または常緑小低木、原産地は南アメリカ南部で、わが国には園芸植物として江戸時代に渡来したとされています。江の島では江の島大師の境内や参道わき、住宅の庭先などでも見ることができます。宿根多年生で、-10℃程度の耐寒性があり、暑さに強く、草丈は80~150㌢になります。茎は四角で長い腺毛や毛が密生します。葉は単葉で対生につき、羽状複葉になります。葉の長さは5~12㌢、縁には大きな鋸歯があり、基部は切型で葉の先端は尖ります。葉脈は葉の裏面で目立ちます。葉柄の長さはまちまちで、5㌢に達する長いものや短いものなどいろいろです。花期は5~12月と長く、長期間花を楽しむことができます。





茎の先端に約3~5㌢の青紫色の花を、穂状花序につけます。花は唇筒状花で、上唇は大きく下唇は短い長さ3~5㌢ほどの花を次々につけます。雌しべの花柱は1本でその柱頭は2裂し、雌性期(雌しべの成熟期)に花冠から突き出て長く伸び、花粉を媒介する昆虫を誘います。雌しべが退化すると、今度は雄しべが成熟し花粉を出して昆虫を誘うことから、同種受精は免れます。雄しべは4個ありますが、そのうちの2個は退化しています。花後に残った萼は黒色で先端は2裂、上の萼片は大きく、下の萼片はやや短くてその先端はさらに浅く2裂します。花後にできた実は分果です。
名前の由来は、ラテン語の治療を意味するサルベラ(salvare)と、原産地の一つであるパラグアイの先住民(グアラニ族)を意味するグアラニチカ(guaranitica)とされています。サルベラの葉は強い香りを放ち、殺菌効果もあるとされ、魚料理などの下ごしらえ用ハーブとしても用いられています。
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