江の島の植物・ノウゼンカズラ
2025年10月10日 (坪倉兌雄)

ノウゼンカヅラ(Camsis grandiflora)はノウゼンカヅラ科ノウゼンカズラ属のつる性落葉低木で原産地は中国、平安時代前期に、薬用植物としてわが国へ渡来したとされています。江の島では弁財天仲見世通りを登り切ったあたりで、ノウゼンカズラを見ることができます。茎は長く伸びて付着根をだし、他物に吸着しながらはい上り、3-10㍍になります。樹皮は灰褐色で、若い枝には褐色の皮目が見られます。葉は奇数羽状複葉で対生し、小葉は緑色の卵形で2~6対あり、長さは3~7㌢、幅は2~4㌢で、葉先は尖ります。縁には粗い鋸歯があります。葉の表面は光沢のある濃緑色で皺があり、裏面はやや白味をおびます。花期は6~8月、枝先から伸びた20~40㌢の円錐花序を垂らし、直径6~7㌢の花を開きます。





花は橙色の一日花で、垂れ下がって咲き、花の中心部は黄色く、橙色の筋が入ります。花冠の直径は約6㌢の広い漏斗型、花冠の先端は5裂し、裂片は丸くなって平開します。萼筒は黄緑色で5裂し、裂片は細く尖ります。子房上位で、雌しべの長さは約4㌢、柱頭は2裂して広がります。雄しべは4本で、その内の2本は雌しべとほぼ同じ長さになります。果実はさく果で円柱形、日本では結実しにくいとされています。名前の由来は、漢名の「凌霄花(リョウセウクワ)」が変じてノウセウとなり、これが訛ってノウゼンに、他ものにからみ上に伸びることからノウゼンカズラになった、とされています(参考文献:語源辞典より)。ノウゼンカズラの花を採取して乾燥させたものを、生薬名でリョウショウカ(凌霄花)と呼び、利尿、打撲傷、通経剤などに用いるとされています。一般には、観賞用として公園樹や庭木として用いられています。
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