江の島の植物・シチヘンゲ
2025年11月20日 (坪倉兌雄)

シチヘンゲ(Lantana camara)はクマツヅラ科シチヘンゲ属の常緑低木で、原産地は南アメリカ、我が国へは江戸末期(1865年頃)に観賞用として渡来したとされています。江の島では広場の片隅や参道わきなどでも見ることができます。樹高は1~2㍍に、茎は4稜形で、やや上向きの開出毛が密生します。葉は対生し、卵形~長卵形で長さ8~12㌢に、葉質はやや厚く、葉脈は裏面に隆起して皺が目立ちます。葉縁には鈍い鋸歯があり、葉先は尖ります。葉の表面は濃緑色で、裏面はやや白みがかった緑色。葉柄の長さは約1㌢。花期は6~11月、枝先と葉腋から長い花茎を伸ばし、その先端に直径約3㌢の頭状花序をつくります。花は唇形花で外周から順に開き、赤・黄色・桃色など、花の色が変わることから、シチヘンゲの名があります。





散形花序に集まった花の中心部には、角ばったリボン状の蕾があり、これも順次開花します。筒部の長さは約1㌢で、花序を支える柄の長さは4~8㌢に。個々の花の基部につく苞は楕円形で緑色、長さ約5㍉で幅1.5㍉。萼の長さは約3㍉で膜質。雄しべ、雌しべは、筒部の中にあり、外から見ることはできません。果実は球形で直径約0.3㌢の液果、複数の果実が集まった集合果で11~12月に黒く熟し、種子はⅠ個ずつ入ります。花や果実には有毒成分があり、食用にはなりません。
花の色には、赤、橙、黄、紫、白などの多品種があり、色の変わらない品種もあります。「シチヘンゲ」は繁殖力が旺盛で各地に野生化し、生態系に与える影響が懸念されており、日本でも「要注意外来種生物リスト」に指定されています。地球温暖化による影響で、根がさらに深く張ると除去が困難となり、他の植物への影響も懸念されています。一方、鉢植えで育てると、成長をコントロールしやすく身近に花を楽しむことができます。
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