江の島の植物・ハマヒサカキ
2025年12月10日 (坪倉兌雄)

ハマヒサカキ(浜姫榊)Eurya emarginataはサカキ科サカキ属の常緑低木で、雌雄別株。千葉県以西、四国、九州、沖縄に分布し、暖地の海岸に生えます。江の島では広場、歩道、車道などの生垣にもよく用いられており、島内のいたるところで見ることができます。樹皮は暗褐色でなめらか、浅く縦列して、高さは1.5~5㍍になり、若枝は淡褐色の短毛が密生します。葉柄は 0.1~0.2㍉と短く、葉は互生し、側枝は2列に並びます。葉身の長さは2~4㌢、幅1~1.7㌢の長倒卵形で、質は厚く革質で、光沢があり、縁には浅い鋸歯があります。葉先は丸形またはややへこみ、基部はくさび形で、葉縁はやや反ります。裏面は淡緑色で、主脈は裏面に隆起します。花期は 10~12月、雌雄異株で葉腋に緑白色の小さな花を1~4個束生します。





萼片は5個で花柄の長さは2~3㍉。花は鐘形で花弁は5個あり、下向きに開いて直径2~6ミリ、雄花は雌花よりやや大きく、雄しべが10~15個あります。雌花では雄しべは退化して、雌しべが1個、花柱は3裂します。花には独特の臭気があります。果実は液果で、直径約5㍉の球形、11~12月に黒く熟して、中に10~20個の種子が入ります。名前の由来は、浜に生えるヒサカキ(姫榊)で、神事に用いるモッコク科のサカキ(榊)より小型であることから、とされています。ハマヒサカキは神事には用いられていませんが、潮風や害虫などに強く、生垣や道路の分離植栽、防潮などにも利用されています。
江の島の道路わきや広場の片隅には、ハマヒサカキだけではなく、常緑低木のシャリンバイやトベラなども植栽されています。いずれも常緑の低木ですが、葉の形状や花の咲く時期が異なります。シャリンバイの花期は4~5月で梅に似た花を開き、トベラの花期は4~6月で白い花を多数つけます。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2025年12月10日












