夏の葬列
九つの短編が収められており、いずれも平凡な人生を歩んでいる普通の人々が主人公で、彼らが日常で直面する苦悩を描き出しています。具体的な地名は出てきませんが、二宮と東海道線沿線の町が舞台となっている作品が多くあります。表題作の『夏の葬列』もそのひとつ。疎開先で突然の空襲に遭い、我が身を守るため、姉のように慕っていた少女を突き飛ばしてしまった過去を持つ少年が成長し、再びその土地を訪れたことから知る残酷な事実と悲哀が描かれています。
作者:山川方夫
出版社:集英社文庫(集英社
価格:480円
出版年月:1991年5月
備考:260頁 ISBN4-08-752014-5