江の島に咲く花
 

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江の島彩時記

ハマユウ(浜木綿)Crinum asiaticum var. japonicum
ヒガンバナ科ハマオモト属 常緑多年草

ハマユウ(浜木綿)は関東以西の本州~四国、九州、沖縄に分布し、海辺の砂地に生える常緑多年草です。江の島ではセンタープロムナードやガーデンパーラーの海側などで、植栽されたハマユウを見ることができます。花は夕方に開き始めますが、夜中が最も美しく、強い芳香を放ちます。これに誘われて大形のスズメガ科のガ(蛾)が、蜜を求めて訪れ花粉を媒介します。受粉して果実が成熟すると中から種子が出ます。種子は海流に乗り、別の海岸へ漂着して発芽することもあります。わが国の自生地は三浦半島が北限とされ、天神島に自生するハマユウは神奈川県の天然記念物に指定されています。生育環境は海辺  花期は7~9月
ハマユウ
センタープロムナードに咲くハマユウ
また二位の浜に自生するハマユウも日本海側の北限地とされ、山口県の天然記念物に指定されています。万葉集にはハマユウを詠んだ柿本人麻呂の一首…「み熊野の浦の浜木綿(はまゆう)百重(ももえ)なす心は念(も)へど直(ただ)に会わぬかも」(万葉集496)…とあり、この花はハマユウの名で古くから親しまれていたものと考えられます。
 名前の由来は浜辺に咲き、花が白くてユウ(木綿)のように垂れることによります。このユウは神事に使うもので、コウゾの皮を裂いてさらし、白い繊維にして垂らしますが、モメンではありません。
ハマユウの葉と鱗茎浜辺に咲くハマユウ
ハマユウの葉と鱗茎(偽茎) 海辺に咲くハマユウの花
ハマユウの鱗茎(偽茎)は多数の葉鞘(ようしょう)が重なりあい、太い円柱状になって直立し高さ約50cmになります。葉は鱗茎の先から四方に伸び、長さは50~90㎝、幅4~10cmの帯状をなし光沢があります。花期は7~9月、葉の間から長さ50~80cmの太い真っ直ぐな花茎をだし、その先端に十数個の芳香のある6弁の細長い紐状の白い花を散形花序につけます。花を支える仏炎苞は膜質で長さ5~10㎝。花後にできる果実は円く、種子は径2~3㎝の大きさになります。葉が常緑で四方に伸びる様がユリ科のオモト(万年青)に似ており、浜に生えることから、一般にはハマオモト(浜万年青)とも呼ばれています。
 
 

【写真&文:坪倉 兌雄 2010-07-25